解剖学を学ぶ理由
人間の動作は全て筋肉が作用しています。筋トレやストレッチをする際に調べて出てくるものを”なんとなく”使っているだけでは指導者としては二流です。プレイヤーの方も覚えておくことでより効率的に成果が出ることでしょう。「この動作はどの筋肉が作用しているのか。」又は「この筋肉はどんな動きをすることによって作用するのか。」全てに根拠を持っていたほうが指導者としては優秀ですし、何よりも”簡単に効かせることができる動きをその場で考えることができます”。=考えていたメニューを忘れたとしてもその場で新たな動きを瞬間的に考えることができるのです!
全身の主な筋肉
筋肉の名称と配置を覚えないことには始まりません。下記の画像を丸暗記して下さい。
筋の収縮様式
短縮性収縮(コンセントリック収縮):筋が短くなろうとして力を出し、実際に短くなる収縮。
例)バーベルカールでバーベルを持ち上げる時の上腕二頭筋
伸張性収縮(エキセントリック収縮):筋が短くなろうとして力を出すものの、外力によって逆に伸ばされる収縮。
例)腕相撲で力が均衡していて動かない時の状態
等尺性収縮(アイソメトリック収縮):筋が短くなろうとして力を出すものの、長さが変わらない収縮。
例)バーベルカールで力を入れているが重さに負けてバーベルが上から降りていく時の上腕二頭筋
筋肉が成長する仕組み
筋肥大のメカニズム:筋肉に大きなストレス(負荷)を繰り返し与えることで、そのストレスに適応して太く発達する。
筋肥大を誘発するストレスは主に以下の4つが挙げられる。
- 強い筋力(筋張力)の発揮
- 筋繊維の微細な損傷
- 無酸素性代謝物の蓄積
- 筋肉を低酸素状態にする
単関節種目:1つの関節のみを動かす種目
多関節種目:2つ以上の関節を一緒に動かす種目
関節の動きによって使用される筋肉
ここをしっかり覚えることで動作に対して使われる筋肉が分かるようになります。
肩関節の可動域
肩関節の屈曲:①三角筋(前部) ②大胸筋(上部) ③上腕二頭筋 ④前鋸筋
肩関節の伸展:①広背筋 ②三角筋(後部) ③大円筋 ④上腕三頭筋(長頭)
肩関節の外転:①三角筋(中部) ②棘上筋 ③前鋸筋 ④僧帽筋
肩関節の内転:①広背筋 ②大胸筋(下部) ③大円筋 ④上腕三頭筋(長頭)
肩関節の外旋:①三角筋(後部) ②棘下筋 ③棘上筋 ④小円筋
肩関節の内旋:①大胸筋 ②広背筋 ③肩甲下筋 ④大円筋
肩関節の水平伸展:①広背筋 ②三角筋(後部) ③大円筋
肩関節の水平屈曲:①大胸筋 ②三角筋(前部) ③上腕二頭筋
肘関節・前腕(撓尺関節)の可動域
肘関節の屈曲:①上腕二頭筋 ②上腕筋 ③腕撓骨筋 ④円回内筋
肘関節の伸展:①上腕三頭筋 ②肘筋
撓尺関節の回内:①円回内筋 ②撓側手根屈筋 ③方形回内筋
撓尺関節の回外:①上腕二頭筋 ②回外筋 ③長母指外転筋 ④長母指伸筋
股関節の可動域
股関節の屈曲:①大腰筋 ②腸骨筋 ③大腿直筋 ④大腿筋膜張筋
股関節の伸展:①大臀筋 ②大腿二頭筋 ③大内転筋 ④半膜様筋
股関節の外転:①中臀筋 ②大臀筋(上部) ③大腿筋膜張筋 ④小臀筋
股関節の内転:①大内転筋 ②大臀筋(下部) ③長内転筋 ④短内転筋
股関節の外旋:①大臀筋 ②大腿方形筋 ③内閉鎖筋 ④中臀筋(後部)
股関節の内旋:①中臀筋(前部) ②小臀筋(前部) ③大内転筋 ④恥骨筋
膝関節の可動域
膝関節の屈曲:①半膜様筋 ②半腱様筋 ③大腿二頭筋 ④腓腹筋
膝関節の伸展:①中間広筋 ②外側広筋 ③内側広筋 ④大腿直筋
体幹の可動域
体幹の屈曲:①腹直筋 ②内腹斜筋 ③外腹斜筋
体幹の伸展:①脊柱起立筋 ②半棘筋群 ③多裂筋 ④腰方形筋
体幹の側屈:①脊柱起立筋 ②内腹斜筋 ③外腹斜筋 ④腰方形筋
体幹の回旋:①脊柱起立筋 ②内腹斜筋 ③外腹斜筋 ④回旋筋
これらを覚えてアクロバットの動きを見直すとまた違った見え方がするはずです。
例えばTDRの手を地面に付ける直前の関節の動きは
使っている関節が分かったらそこから使っている筋肉も分かり、筋力が少なくて技ができない人に対しての指導方法が見えてきます。
極端な話ですがここまで理解していれば指導者としては最低限泊が付くのではないでしょうか。